日本の製造業の特性データの偽装について(途中)

日本の製造業の特性データの偽装について

—————————

現在、日本の製造業(化学・材料メーカー)の特性データ偽装が問題になっている。

私が働いている製造業(メーカーA)も、化学・材料系メーカーのうちの一社であるため、

私自身もこの件について書ける範囲ではあるが個人的意見を書いてみようと思う。

私が思うのは以下の二つである。

—————————

1.強度特性のばらつき

2.材料・化学メーカーの業界の厳しさと縦割りの組織体制

—————————

1.強度特性のばらつき

今回のニュースを一番初めに私が聴いた時、材料メーカーで仕事をしている私は「どの程度のデータ偽装をしていたんだろうか」と思った。なぜなら、私の会社(某メーカーA)も数メガ程度の強度であれば数値を丸めて(要は偽装して)いるからである。

最終工程の特性の作り込みで強度が目標特性に入らなかった場合、数メガ程度であれば数値を丸めて顧客に出荷している。まさに「特別採用」である。

しかし、この程度(10メガ程度)の数値は、強度を測定する引張試験機の測定のばらつきで入り込む数値であり、

特性項目によっては20メガ程度のばらつきが発生する可能性があるものもあるため、

現実的に特性規格内に入るまで測定をし続けるすることが難しく「この程度は許容範囲だろう」と思いつつ慣習的に仕事を進めていた。

工場の社員の考えが甘いといえば甘いのかもしれないが、たとえ正しいデータを顧客に提供しても、顧客が測定試験を行った際に異なる結果になってしまうのである。

そのため、もし今回問題になっているメーカーが100メガなどの大幅な強度偽装をしていたのならば問題だが、

10ー20メガ程度の偽装であればやむを得ないのでは無いかと思う。

2.材料・化学メーカーの業界の厳しさと縦割りの組織体制

上の特性のばらつき以外に、私が思う一番の理由は材料・化学メーカーの業界の厳しさと組織体制である。

グローバル社会の現在、材料・化学メーカーは世界の競合メーカーとの間でシェアを奪い合う厳しい競争に置かれている。

日本の大手企業とはいえ、研究開発部門がいかに優れた強度等の特性値の製品を開発し、


工場は優れた生産性で製品を納期までに顧客に供給しなければならない。

この「研究開発→営業が受注→工場が納期までに供給」のサイクルを円滑に繰り返していくメーカーが業界の勝ち組になることができるのである。そのため、研究開発部門と営業部門が工場の意向を無視し、工場が生産しにくい商品を開発・受注して大量のオーダーが入ったような場合は工場は火の車となる。

おそらく、今回のメーカーもこのような状況で工場の生産性を無視してしまった時に工場で特性の偽装が発生したのでは無いかと思う。

—————————

私はこのような材料メーカー内の2点の事情が思い浮かぶ。

測定結果をそのまま顧客に提出することが理想ではあるが、

これから各社がどのような対策を進めていくのか興味深い。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。